すらすら経済学を学ぶ日記。

会計・税務の実務家が経済学をすらすら学ぶ日記。

公共経済学

消費税の「転嫁」に関する法律論と経済の実態の間に・・

本日のお題はこちら。実務解説 消費税転嫁特別措置法作者: 長澤哲也出版社/メーカー: 商事法務発売日: 2013/11/08メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る(消費税の円滑かつ適正な転嫁) 第十一条 事業者は、消費に広く薄く負担を求め…

金融危機と経済学(ボツVer.)w

ボツになった原稿ですが、このまま誰にも読まれずに捨てるのも惜しい気がしますので晒しておきます。 みんなで #これわひどい #トンデモ お好きなタグで論評しよう!w 1.はじめに 2008年9月の米国投資銀行、リーマン・ブラザーズの経営破綻を契機に顕在化…

弱者救済という善意がもたらす結末は?

政府が競争市場で拘束力を持つ価格規制を行うと、 財の不足が生じ、売り手は多数の潜在的な買い手に対して 希少な財を割り当てなければなりません。 競争的な市場であれば、 価格が自動的に資源配分を行いますが、 規制がある市場では、 行列・コネなどで 財…

市場の限界と「政府の失敗」について。

市場が完全に効率的になるのは かなり制限的な仮定のもとでのみです。こちらの過去エントリーもご覧ください。 完全競争市場の前提と「市場の失敗」。この市場の失敗がある場合、 限定的な政府介入は、 最悪の問題を解決することができないにしても 軽減する…

日本社会は国際的にみて不平等?

日本でも貧困が広がっているともいわれます。貧困を相対的なものとして計測する限り、 社会を構成する全ての人間たち全員が 完全な平等な資産・所得を持つことはあり得ないので 不平等や貧困は社会が続く限り残ります。厚生労働省の発表によりますと、 日本…

金融市場における公共財とは?

金融市場における資金調達者と資金供給者との間には、 返済可能性や資金の本来の使途への充当・活用などについて、 典型的な「市場の失敗」である「情報の非対称性」が存在します。情報の非対称性を解消するためには、 資金調達者・供給者は費用を負担しなけ…

社会主義計画経済の不可能性について。

市場経済(完全競争市場)においては、 すべての家計と企業が財や生産要素の 市場価格を共通のシグナルとして取引を行い、 自らの効用や利潤を最大化します。しかし、社会主義計画経済においては、 中央政府がすべての家計の効用に関する情報と、 すべての企…

独占企業をどう規制する?

完全競争市場では、消費者余剰と生産者余剰を合せた総余剰が 均衡での取引量において最大となる、とされます。一方、巨額の初期投資と固定費用を要する 電力業のような費用逓減産業では 自然独占が生じるため、 政府は最初から地域独占を認めています。独占…

市場経済における政府の役割とは?

「市場に任せれば全てうまくいくんだ!」 ということだけを主張する、 市場原理主義者なる人物は実在しないと思われます。今日の社会は市場経済を主としつつ、 「市場の失敗」に対応するために 政府の市場介入が求められています。標準的なテキストによりま…

純粋公共財の追加サービスの対価はあるのか?

自衛隊は、愛国者もけしからん人も売国政治家も、 日本に住んでいる方であれば等しく防衛します。愛国者であれば、ちょびっと追加サービスがあったり、 売国政治家の家はミサイル防衛から外すなんてことはいたしません。 税金を払わないけしからん人も、高額…

完全競争市場の前提と「市場の失敗」。

完全競争市場といわれる市場は、 4つの条件を満たしている必要があります。①プライス・テイカー。 消費者・企業などの経済主体は市場全体の規模に 比較してじゅうぶんに小さく、プライス・テイカー (価格受容者)として行動する。 各経済主体は価格受容者…

読書ノート「夫婦格差社会-二極化する結婚の形」。

本日のお題はこちら。 格差問題論争の火付け役となりました橘木教授の研究。 新書サイズということで易しいです。 夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)作者: 橘木俊詔,迫田さやか出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/24メディア: 新…

読書ノート「地方財政論入門」(その1)

本日のお題はこちら。 一橋大学公共政策大学院教授、佐藤主光先生の著になるものです。 地方財政論入門 (経済学叢書Introductory)作者: 佐藤主光出版社/メーカー: 新世社発売日: 2009/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件)…

読書ノート「財政赤字の淵源-寛容な社会の条件を考える」

財政赤字の淵源 --寛容な社会の条件を考える作者: 井手英策出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2012/10/17メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (3件) を見る 「人々は租税負担の一方で公共サービスからの受益があるから納税を受け入れる。これ…

日本の消費税は効率性が高いか?

財政赤字の淵源 --寛容な社会の条件を考える作者: 井手英策出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2012/10/17メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (3件) を見る 読み終わりました。読書ノート(書き抜きとそれに対する思考)を付ける前に、 明ら…

読書ノート「スティグリッツ 公共経済学」(その2)

続きです。スティグリッツ公共経済学 第2版 (上)作者: ジョセフ・E・スティグリッツ,藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2003/10/24メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (20件) を見る スティグリッツ 公共経済学〈下〉租税・…

読書ノート「スティグリッツ 公共経済学」(その1)

有名な基本テキストをその分厚さに怯みつつ、読み始めました。 具体例はやはり米国の事例が多いですが、 基本的なことは共通です。スティグリッツ公共経済学 第2版 (上)作者: ジョセフ・E・スティグリッツ,藪下史郎出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2…

読書ノート「日本財政 転換の指針」(その2)

読み終わりました。 めったに付かない☆5つですね。 財政学や公共経済学の本ではありません、財政社会学、という分野だそうです。 日本財政 転換の指針 (岩波新書)作者: 井手英策出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/01/23メディア: 新書 クリック: 27回…

読書ノート「日本財政 転換の指針」(その1)

本日のお題はこちら。 日本財政 転換の指針 (岩波新書)作者: 井手英策出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/01/23メディア: 新書 クリック: 27回この商品を含むブログ (5件) を見る 日本は国際的な統計調査によると他者への信頼が低い社会に分類される。さ…

読書ノート「不平等について」(その1)

本日のお題はこちら。 不平等について―― 経済学と統計が語る26の話作者: ブランコ・ミラノヴィッチ,村上彩出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2012/11/23メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (6件) を見る 「善玉の不平等と悪玉の不平等が…

読書ノート「企業福祉の終焉」

本日のお題はこちら。 内容的には先日の「消費税15%による年金改革」と少々被ります。 企業福祉の終焉 - 格差の時代にどう対応すべきか (中公新書)作者: 橘木俊詔出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/04/25メディア: 新書購入: 1人 クリック: 5回こ…

読書ノート「消費税15%による年金改革」

京都大学の橘木俊詔教授と経済学部ゼミ生による、消費税15%による全額税方式への移行を提言した書です。 一般向けなので消費税の中立性や労働供給への影響などはさらっとしか出てきません。 2004年に書かれた本ですので、少々データ的には古くなっておりま…

読書ノート「日本の貧困研究」

本日の題材はこちら。 第5章「貧困との戦いにおける最低賃金の役割」を学びました。 日本の貧困研究作者: 橘木俊詔,浦川邦夫出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2006/09メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (11件) を見る 最低賃金制…

読書ノート「生活保護の経済分析」(その2)

読み終わりました。 2008年3月出版なので、リーマンショック後の急激な雇用環境悪化、現役層の生活保護急増の問題は触れられておりません。 また、あくまで(数式まで使用した)経済学的視点によるものであり、貧困問題を扱った本にありがちな道徳的糾弾や感…

読書ノート「生活保護の経済分析」(その1)

とかく感情的・情緒的になりがちな生活保護について、経済学の知見をもって分析した研究書です。 とにかく面白い。 生活保護の経済分析作者: 阿部彩,國枝繁樹,鈴木亘,林正義出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2008/03メディア: 単行本 クリック: 9回こ…