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すらすら経済学を学ぶ日記。

会計・税務の実務家が経済学をすらすら学ぶ日記。

経済成長すれば増税は必要ない?

経済成長すれば増税は必要ない、という意見は根強くあります。
現行の税収構造から考えて、
この意見は成り立つのか・・経済学者が試算しております。

参考文献はこちらです。

税制改革のミクロ実証分析――家計経済からみた所得税・消費税 (一橋大学経済研究叢書61)

税制改革のミクロ実証分析――家計経済からみた所得税・消費税 (一橋大学経済研究叢書61)


なお、以下の仮定は消費税に限定しており、
経済成長による法人税や所得税の増収は
計算に入れておりませんし、
あくまで現在の物価水準が変わらないとしたり
消費性向も変化しないとするなど
いろいろ問題がありますが、
議論の前の一つの仮定と考えてお読みください。


なお、数字はいずれも2009年度のものです。


消費税は家計の最終消費に転嫁されるという建前であり、
家計消費支出と実際の税収を比較することにより
効率性が測定できます。

家計は所得の全てを消費に回すわけではありません。
所得292兆円に対する消費性向は約94%。*1

所得292兆円×94%=273兆円が消費に回ります。

家計総消費支出 273兆円で、
消費税収は 約12兆円。
実効税率は約4.3%です。*2

5%にならないのは非課税品目の存在や
いわゆる益税による脱漏があるためですが、
かなり効率性は高いものと思われます。

さて、経済成長により
今回の10%引上げによる税収増は約12兆円とされます。


この税収を、5%を維持したまま確保しようとする場合、
どのくらい所得を増やす必要があるかと計算しますと、
簡単な算数で、消費性向や税収の効率性が変わらないとすると
所得も2倍にならなければなりません。


このためには、名目10%の成長を7~8年間維持しなければ
ならないという非現実的な仮定を置かなければなりません。


もちろん、所得が増加すれば
法人税や所得税の税収も増加しますので、
消費税だけに限定したこの議論は
増税を正当化するための
不十分な仮定であるとも思われます。


なお、一般会計の基礎的財政収支の赤字は
12兆円の税収増加では半分程度しか埋まりません。


所得税の累進性回復による増収や
法人税の特別措置廃止による課税ベース拡大、*3
何よりも高齢者給付に偏り過ぎた
社会保障の見直しを合せて行う必要が
あるようにも感じております。


考えを深めるためにも
勉強を続けたいと思います。

*1:消費性向=消費C/可処分所得Y

*2:いずれも地方消費税を含んでおります。以下同じ

*3:法人税率引下げの効果には疑問を感じておりmすので、ここでは挙げません。