すらすら経済学を学ぶ日記。

会計・税務の実務家が経済学をすらすら学ぶ日記。

弱者救済という善意がもたらす結末は?

政府が競争市場で拘束力を持つ価格規制を行うと、
財の不足が生じ、売り手は多数の潜在的な買い手に対して
希少な財を割り当てなければなりません。


競争的な市場であれば、
価格が自動的に資源配分を行いますが、
規制がある市場では、
行列・コネなどで
財が配分されてしまいます。


ソ連邦における名物であった
モノ不足による店における行列や、
消費財を党幹部だけが入手できるなどの事象です。


行列は非効率ですし、
コネは不公平です。


政府による規制の多くは、
「貧しい人を助けたい」という善意から始まります。
しかし、価格の下限を決める規制は、
時に「助けようとしている貧しい人」に
損害を与える結果を引き起こします。


最低賃金制度も価格規制の一種と考えることができます。
最低賃金は、一部の労働者の賃金を改善しますが、
同時に他の労働者を失業させてしまうことに。*1


価格規制よりも、勤労所得控除制度など、
補助金制度が優れていることが多いですが、
政府にとって費用がかかるので採用されにくく
弱者救済を名目とする直接規制が
多数採用される事態となっています。


本日の参考文献はこちら。

マンキュー経済学I ミクロ編(第3版)

マンキュー経済学I ミクロ編(第3版)

*1:最低賃金制度の効果については経済学者の間でも見解が分かれます。ここでは、価格理論上での例示の一つとお考えください。