すらすら経済学を学ぶ日記。

会計・税務の実務家が経済学をすらすら学ぶ日記。

経済学の知見を、すぐには役に立てることは難しいかもしれないけど・・

本日のお題はこちら。

マーケットデザイン: 最先端の実用的な経済学 (ちくま新書)

マーケットデザイン: 最先端の実用的な経済学 (ちくま新書)

価格によって財・サービスの評価が定まり、効率的に配分されていくという市場の機能は優れたものですが、情報の非対称性・外部性の存在・公共財など、うまくいかないことも多々あります。
市場の失敗といわれるものですが、これは「市場は万能であるが、たまたま失敗した」ということを指しているわけではありません。


本書では、腎臓移植や男女の結婚のマッチングなど、必ずしも金銭による価格付けが馴染まない「市場」において、経済学の知見がどう「役に立っているのか」、易しく紹介しております。
また、価格付けでも一般に定価があらかじめ示せない分野における競争方法として、オークションについても詳しく説明されております。


このような「市場の仕組みをデザインする」手法は、米国では腎臓移植マッチングや研修医の最適な配属、周波数オークションなどに幅広く応用されているそうです。
しかし、日本では政府(政治家や官僚)による直接規制や業界団体の強い圧力の存在のため、腎臓移植マッチングは「必要無い」とされたり、周波数は政府による裁量的な割り当てによるなど、ほぼ実施されてないとも。


市場は決して万能ではなく、経済学も同様に万能ではありませんが、このような「すぐに役に立つ」知恵もあります。
昨今の指令経済的発想の政策連発をみるに、米国のような実社会への応用は難しいかもしれません。


それでも、このような知見が学問の世界で明らかにされているのは興味深いことです。
市民一人一人へ、経済学の知恵が普及することを望みます。