すらすら経済学を学ぶ日記。

会計・税務の実務家が経済学をすらすら学ぶ日記。

財政に関する議論の前提となる共通の基礎を共有するためには・・

本日のお題はこちら。

関西学院大学の上村敏之教授の手になる、今日の財政状態に関する書です。
タイトルとは異なり、消費増税の是非といったテーマだけではなく、財政の持続可能性・歳出の無駄は本当にあるのか、そしてなぜ財政が必要なのか、という広いテーマに関する基礎的な考え方を解説しております。
特定の経済政策を「こうあるべきだ」として規範的に主張することはありません。
もちろん、社会の安定のために「財政」(公共の役割)が必要であるという立場にはあります。

その前段として、税制における公平(垂直的公平や水平的公平)と効率、プライマリーバランスとは、GDPと政府債務の比率の関係、一般会計だけではなく社会保障特別会計など、財政を考える上で共通の基礎となる考え方を易しく解説しております。


ちまたにあふれる議論では、このような共通の基礎の理解が無いままに、同じ言葉を違う定義で使ってひたすら混乱している場面が多いように思われます。


財政が無くなれば社会の安定は維持できません。
持続可能な制度を作っていくために、何をどうしていけばいいか、議論の基礎として押さえておきたい知識を提供してくれる一冊です。