読書ノート「日本財政 転換の指針」（その２）

読み終わりました。
めったに付かない☆５つですね。
財政学や公共経済学の本ではありません、財政社会学、という分野だそうです。

日本財政 転換の指針 (岩波新書)

「土建国家の枠組みは、・・低所得者層を生活保護受給者とするのではなく、建設労働者として働いてもらうことで尊厳の平等化を支えた」公共投資によって農家の次男三男を建設労働者として雇用する土建国家は高度成長期にはうまく機能した

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月30日

「家族主義的に編成されている日本企業にあって、人々が企業を裏切ることのペナルティは非常に大きかった」抜社畜はご法度

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

1997年の金融危機前後が企業が法定外福利費の削減、派遣社員への置き換えなどにより雇用者を「裏切る」ことが決定的になった時期、と。この時期に20代の離職率・失業率が明確に上昇していることがデータから読み取れる。ふむふむ

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

1990年代の終わりには政治や官僚への不信感も高まっていく。不信社会の出現ですか。。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

日本では社会保障給付増額のために増税をした経験はほぼ皆無。平成9年（1997年）の消費税率引き上げ（3％→5％）の前にも巨額の所得税減税が行われていたため、2014年（平成26年）からの消費税率8％引上げはなんと1981年以来の純増税となる

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

「何が無駄かを問う政治は、政治そのものが無駄であるとの印象を人々に与える」うわああああ

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

消費税増税へのイメージ：財務省・財政再建派→これで赤字国債発行を減らして財政再建！厚生労働省・社会保障派→これで福祉拡充！総務省・地方重視派→これで地方再生！（佐藤主光一橋大教授による）。この同床異夢が次の税率引き上げの時に揉め事の原因になりそう

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

自分が貰えない→バラ撒き！　自分が貰える→成長戦略！　この発想は。。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

「人々は、他者と同じように努力したのであれば、（結果に関わらず）他者と同じように承認されたいという欲求を持っている。しかし中間層が他者（低所得者）と同じく扱われないということで、特別扱いされた低所得者を評価・承認することは困難になる」これが分断社会。。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

ここで著者は、低所得者を「特別扱い」して選別給付を行う現行の社会保障制度では、租税を負担する中間層の同意を取ることは難しいので、所得に関わらず人間であれば誰もが基本生活を保障される社会を目指すと述べます（選別主義から普遍主義へ）。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

「日本の老齢年金の金額は実はスウェーデンの水準を上回っている」mjsk

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

日本の社会保障は高齢者給付に限定すれば年金・医療とも北欧諸国に匹敵するほど充実している。しかし子育て支援や母子家庭などへの支援は非常に貧弱で世代間対立を煽ることになる

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

「財政の身動きが取れないから、中央銀行に責任転嫁を行うのは無責任な議論・・金融緩和をすれば物価が上がるという問題を超えて、社会が統合の危機に直面しているということ」これに目を背けて技術論に陥る方は多い。。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

所得税最高税率の引き上げは、それによって得られる税収は数百億円程度で財政再建には焼け石に水ですが、政府が応能負担原則（納税できる能力が高い人にはきちんと払ってもらう）を取るという国民へのメッセージ効果がある、と。

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

「（消費税の拡充は）低所得者へも広く課税することで、中間層の低所得者のモラルハザードへの懐疑を緩和する効果がある」やはり「逆進性緩和」と称する現金給付は最低限にしないと国民の分断は緩和されないし、軽減税率は愚劣の極み

— すらたろうさん (@sura_taro) 2013年3月31日

新書サイズですが、非常に面白く読めました。
続いてこちらへも進みます。

財政赤字の淵源 --寛容な社会の条件を考える

雇用連帯社会――脱土建国家の公共事業